★雑記/リズムとは……



 われわれを取り巻く神羅万象は、リズムを伴って動いている。いや、動いているからリズムを伴っているともいえるし、端的にいえば動きそのものがリズムである。

 リズムという言葉から、自分のような凡人はすぐに2拍子とか3拍子といった音楽に関係したことを思い浮かべてしまうのだが、実際にはそうした極めて狭小な砂の一粒のような次元の事象ではなく、宇宙全体がありとあらゆる規則的あるいは変則的なリズムで動いている。
 リズムとは、一言でいえば時間の経過そのものである。

 なんだか漠然とした、どうでもよいことから始めてしまったが、われわれ人間の存在する過程におけるさまざまな事象は、多種多様なリズムを伴いながら負から正へと移動している。
 つきつめて日々の生活に目を向けると、われわれの動きはリズムそのものであり、それは時空の停止がない限り未来永劫続いていくのである。
 
 さて、そうした理屈っぽいことはどうでもよいことにして、ここで上で述べた「リズム」という言葉の“一例“をご覧いただこう。
 




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【こころの歌】私を愛してくれたら……



Si me pudieras querer / Israel López "Cachao"
私を愛してくれたら…… / イスラエル・ロペス“カチャーオ”
 





■キューバン・ミュージック界の功労者
 イスラエル・ロペス“カチャーオ”が、キューバン・ミュージック界における偉大な功労者の一人であることは周知のところである。
 カチャーオは1918年、キューバのハバナに生まれ、1960年代にはラテン・ジャズの名手として活躍した。その後アメリカに亡命し、およそ30年後、ハバナ出身の俳優でミュージシャンのアンディ・ガルシアに“再発見”されるまでフロリダのマイアミを中心に比較的無名な音楽活動を続けていた。



 しかし、この人こそアフロ・キューバン・ミュージックに革命をもたらしたデスカルガ(ジャズのようにメンバーが自由にアドリブすることでアフロ・キューバン・ミュージックの代名詞ともなった。このラテン・ジャム・セッションの方法は後にサルサ、ラテン・ジャズなどのパフォーマンスに大きく貢献することとなった)の考案と、キューバン・ミュージックにアフリカン・リズムを導入し、今では知らない人はいない「マンボ」のリズムの原型を考案した人なのである。
 マンボはペレス・プラードが考えたと思っている人がいるが、実はプラードはこのリズムを応用し、メキシコやアメリカでさまざまな作品を花開かせた人なのである。



春の時.jpg ここで演奏されている『私を愛してくれたら…』は、アンディ・ガルシアのプロデュースによるソン、デスカルガの演奏を集めたCD『Ahora Si
(アオラ・シー)』からの1曲である。
 どちらかといえば、
2000曲を超すカチャーオの作品(兄のオレステスととも作曲)の中でもクラシック的な雰囲気の漂う甘い旋律で、聴いていると思わず胸が熱くなる逸品である。




画像








イスラエル・ロペス“カチャーオ”


■地味な音楽家
 カチャーオは、キューバ出身のミュージシャンの中ではいたって地味な存在であった。ガルシアの助力もあって1990年代には息を吹き返しふたたびベーシストとして表舞台を歩き始めたのだが、2008年3月、腎障害でマイアミの病院に入院、帰らぬ人となった。
 キューバン・ミュージックに多大な功績を残したカチャーオだったが、そのなきがらはついに故国キューバにもどることはなかった……。

                           (Fin)


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【推薦曲】 ソン・アル・ソン/ オルケスタ・アラゴーン&チェオ・フェリシアーノ

Son al Son
/ Orquesta Aragón con Cheo Feliciano

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ソン・アル・ソン
/ オルケスタ・アラゴーン&チェオ・フェリシアーノ






 これまでいろいろな曲を推薦曲として紹介してきた中で、今回ほど心躍らせた曲は他に見当たらない。本来なら自分一人で聴いてニンマリしているところだが、素晴らしい作品だとつい多くのラテン・ファンの方たちに聴いてもらいたいと考えてしまうのは、永年続けてきた仕事のせいだろうか……。

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 突飛な言い方だが、やはり僕は、キューバがどこの国よりも好きだ!……。こんなことをかしこまって書くと、僕個人を知る人なら「いまさら何を言ってるんだ!」と嘲笑するに違いない。
 もちろん、どうしてかは「キューバの旅」の本編を読んでいただけばお分かりいただけることなのだが、こと音楽に関しても、どんなに飾りに飾った言葉で言い表したところで、そんな言葉など何の役にもたたないほどキューバは素晴らしい国である。


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 陸続きの欧米の国々と異なり、キューバは島国であることが幸い(?)し、むかしから外からの雑多な他人種、他文化の混入がなかった。しかし、スペイン人が粗悪な布地などと引き換えに、アフリカの黄金海岸あたりからこの島に奴隷として連れてきたアフリカン・ニグロの人たちと、コロンブスに端を発する侵略者スペイン人たちの上陸以降はかれらの文化がこの国に根を広げ、音楽にも多大な影響を与えたことは言うまでもない。
 キューバン・ミュージックには、この島にもともとあった原住民の音楽と、遠く海を渡って連れてこられたアフリカン・ニグロの人たちがもたらした音楽、そしてスペイン人の音楽が渾然一体となって溶け込み、それが独自の音楽として今に伝えられている。そこには欧米のような猿真似、模倣もない。
 近年はヨーロッパやアメリカあたりとも交流が出来、ジャズなどについてはそうでもなくなったが、それまではすべてかれらがキューバ国内で生み出したリズムや音楽ばかりである。

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 前置きが長くなったが、今回、ここで紹介するのは、キューバのチャランガ・バンド、オルケスタ・アラゴーンが1999年に録音したアルバム『ラ・チャランガ・エテールナ(永遠のチャランガ)』からの1曲である。


オルケスタ・アラゴーン.jpg









オルケスタ・アラゴーンのライヴ・ステージ


画像 今日まで、僕はキューバン・ミュージックを誰よりもたくさん聴いてきたつもりだが曲調、歌、演奏、どれをとってみてもこれ以上すぐれたものは今のところ思いつかない。
 このアルバムはそれほどの傑作であると言っても過言ではないだろう。
 バンド結成60周年記念と銘打ったこのアルバムには、オマーラ・ポルトウォンドやトレス・ギターの名手パンチョ・アマート、フェロ・バカジャオなどのキューバン・ミュージシャンのほか、プエルト・リコからビッグ・アーティストのチェオ・フェリシアーノ、アフリカのコンゴからパパ・ウェンバらが参加している。


 収録曲の中から、ここではヴェテラン、チェオ・フェリシアーノがうたう「ソン・アル・ソン」を紹介する。
 癖のない、すこぶるきれいなうたい方とわざわざリズムをずらして聴かせるところなどは、チェオがサルサの本場プエルトリコの大御所シンガーと呼ばれる所以である。聴くほどにたまらなく切なさを感じさせる作品だ。


画像














写真は熱唱するチェオ・フェリシアーノ(バック・バンドは収録曲とは関係ありません)


画像画像






新生オルケスタ・アラゴーン


 ニュー・サウンドともいえる演奏を聴いていると、初代リーダーで父親のラファエル・ライが頑ななまでに守り続けてきたフルートヴァイオリンのコンビネーションによるエレガンスとアフロ・キューバン・リズムを融合させたサウンドを、息子で現リーダーのラファエリートがしっかりと受け継いでおり、新生オルケスタ・アラゴーンがキューバを代表するビッグなバンドであることを誰もが再認識するに違いない。                       (Fin)


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★雑記/春の時



春の時2.jpg
























Tiempo de Primavera / Raul Di Blasio(pf)
ティエンポ・デ・プリマヴェーラ(春の時)
          / ラウル・ディ・ブラシオ(ピアノ)






誰もが待ち望んでいる、春。
新しい季節は、もう、すぐそこまでやって来ている。
雪や氷は、未だわれわれの心を暗く沈んだ世界に閉じ込めている。
否、われわれの心を閉じ込めているのは、今の世の中なのかもしれない。
だがまもなく、忘れかけていた眩い光の中で、花が咲き乱れ鳥が舞うだろう。
ここで採り上げた音楽が、輝かしい春の訪れを待つあいだ、
あなたの心に明るい光を投げかける糧となれば幸いである。



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【こころの歌】帰り来ぬ青春 / アンディ・ウィリアムス



◎Yesterday when I was young
  / Andy Williams

 イェスタデイ・ウェナイ・ワズ・ヤング
 / アンディ・ウィリアムス
 





前回に続いてふたたび『帰り来ぬ青春』を採り上げた。今回は以前にも採り上げたことのあるアンディ・ウィリアムスの歌唱によるものである。作品についてはいまさらくどくどと書く必要もないと思うので割愛させていただく。
ここではムーヴィースター、マイケル・ビーンの映像とともに、アンディ・ウィリアムスのうたうやるせなく切ないバラードをお聴きいただこう。


映画フォト修正分.jpg











マイケル・ビーン


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帰り来ぬ青春

私が若かった頃、人生の味は舌に触れる雨のように甘かった。私は愚かなゲームのように人生を過ごしてきた。夕暮れの微風がろうそくの炎をゆらすような生き方だった。
私はたくさんの夢を夢見た。素晴らしいことをもくろんでは、その夢をもろくて変わりやすい砂の上に築いたものだ。夜も昼も楽しみに生きてきた。そしていま、多くの歳月が走り去ったことを知った。
私が若かった頃、すべてが歌われることを待っていた多くの歌だった。たくさんの楽しみが、私のために並べられ用意されていた。そして、たくさんの痛みを私の曇った目は見ることを拒んだ。私は早く走った、時と若さに先んじようとして。それに人生は何かと考えるために立ち止まることはなかった。すべての会話を、いま私は思い出せる。私に関する言葉だが、もはや何の意味もない。  

あの頃は月が青かった、そしてすべての狂おしい日々が、新しい何かを運んできてくれたものだ。私の魔法の時を魔法の杖を持っていたかのように費やしてしまった。そして私は無益で空しい彼方を眺めることはなかった。恋のゲームも私は優雅さと誇りを持ってやった。そして私が灯したすべての炎は、とても早く、速やかに消えていった。友人たちもいつしか遠ざかっていった。ひとり残された私は、ステージで幕を閉じるのみ。私の中にあるたくさんの歌は、ついに歌われることがない。私の舌に苦い涙の味が感じられる。私のための時が来た、過去の代価を払う時が、私が若かった頃の・・・。

                   (歌詞意訳) (Fin)


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